この建物は、昭和8年多度村立多度尋常高等小学校として建築され、当時の
木造校舎としては近隣にその類例をみない斬新な建築様式でその偉容を誇っ
たものです。この校舎の設計者は、四日市市(故)野田技師で、施工は名古屋
市(故)石川庄平氏がこれに当り、以来四十八年有余、この間教育制度の改正
町制施工及び町村合併により国民学校から多度町立多度小学校と改名されま
したがこの地域の学びの殿堂として多くの人々の忘れ得ない母校と慕われて
きました。しかし昨今教育の近代化に加え建物の老朽により、町内全小学校と
ともに教育環境整備施策のもと、この多度小学校も昭和五十七年三月鉄筋白
亜の近代校舎に改築されました。そこで旧校舎を時代の変遷を物語る代表的な
建造物として保存することとなりました。その一部をここに移築し「多度町郷土館」
として多度町の歴史の館又はこれらを探求し、伝承する場に有効利用を計ろうと
するものであります。この趣意をよく理解され、後世に永く役立つことを念願して止
みません。 昭和五十七年四月 多度町長 伊藤 馨
前方の山の左側に「多度大社」 すぐ下の川は「多度川」